動物感覚情報学-2006

講師宗宮弘明 教授
開講部局農学部/生命農学研究科 2006年度 後期
対象者農学部資源生物学科3年生

授業の内容

動物が生き残るために必要なものは何か? 食べ物がまず第一に必要だろう。ついで、配偶相手を見つけ子供を残すことが必要だ。これがうまく行けば、当面その動物種は地球上に生き残ることができる。動物の感覚器は、この2つの生物過程をうまく行うためにあると考えても間違いは無いと思う。感覚器は情報と知識の窓口になる。生きてゆくためには常に感覚を研ぎすましておかなければならない理由はここにある。授業では、感覚器だけで処理できる問題と脳を動員してまで感覚を成立させる点にも注目する。錯覚が生まれる理由はそこにある。授業は理科系だが、大学で学んで生きてゆくためには、物事を総合的に見る必要があることを強調したい。そこで授業は文理融合型のものとなる。「エー!ソウナノ!」「もっと、自分で勉強してみるか!」となってくれたら、うれしいなー。と思いながら、授業をやっています。

授業の工夫

  • 授業前日の午後は翌日の授業の準備に当てる。なるべく新しい材料を入れ込む。(毎年授業内容を進化させる)
  • 授業はパワーポイントを使うので、授業の 15 分前に教室に往き準備を終える。(準備が終わり次第、学生と雑談しどこが判らないかを聞いておく)
  • 授業時間を厳守し、始まりと同時に「質問書」を配る。質問書には年月日、担当者、講義名、本日のテーマを入れておく。質問書は学生一人一人に手渡しする。学生数が多い場合は、時間前から配り始める。
  • 遅刻者には質問書は配らない。質問書は授業の終わりに回収し、質問内容を見て出席点をつける。(遅刻者をなくすのにとても有効)
    • 授業開始時に前回の質問書の中から、重要なもの 5 点について説明する。
    • 私語は絶対にやめるよう、最初の授業で宣言し、学生と約束を取り交わす。
    • 結局のところ、聞いていて楽しくて、興味ある中身を提供することで、私語はなくせるのではと考えています。(楽しい授業を考えるのは愉しい)

授業の目標

動物が生きていくうえで感覚器官がどのような役割を果たすかを解説する。さらに視覚を例として、見ることと(感覚)、描くことと(運動)、認識すること(脳の働き)の意義をこの授業の中で探求する。授業を受けて興味をもったことを、自分で調べて自分で考え、自分の知識体系の中に組み込む訓練を、レポート作成時に行う。

習得していただきたい項目

  • 生命の歴史と現在の地球環境
  • 生命科学の歴史と大学の役割(大学で学ぶ意味)
  • 動物の感覚器の構造と機能
  • ヒトの感覚器の構造と機能
  • 感覚器と脳の関係
  • 感覚と錯覚

教科書

プリントを配布する。

課題

授業を受けて興味をもったことを、自分で調べて自分で考え、自分の知識体系の中に組み込む訓練を、レポート作成時に行う。レポートは 7 回提出する。講義の後に復習を兼ねて、興味をもった事項について調べ、自分の意見をレポート(A4、1枚にまとめる)にして提出。試験は行いません。

講義スケジュール

授業内容
1 生物学の基礎1:生命の歴史とヒトの誕生(われわれの現在の位置)
2 生物学の基礎2:生命科学の歴史と大学の役割(大学で学ぶ意味)
3 感覚とはなにか?感覚は情報の窓口!
4 視覚1:動物の視覚系
5 視覚2:化学者ダルトンと色盲
6 視覚3:見る、描く、認識する(鉛筆・消しゴム持参)
7 視覚4:錯視の世界
8 視覚5:眼の世界と脳の世界
9 味覚の世界
10 嗅覚の世界
11 聴覚の世界
12 音のデザイン
13 触覚と幻肢
14 サヴァン症候群とは?
15 共感覚とはなにか?

講義資料

第 1 回資料

成績評価

  • レポート(10 点満点) × 7 = 70 点
  • 出席点(質問書の内容 2 点満点) × 15 = 30 点

投稿日

January 21, 2016