授業の内容
消化器の総論、各論を 12 回の講義で行う。内容は、消化器疾患(食道・胃・大腸・肛門などの消化器疾患と肝、胆、膵疾患)の診断と治療の基本と最近の進歩について具体的に学ぶ。
授業の工夫
医学部の臨床の講義は、臓器別(消化器、循環器など)に分かれています。そして一つの疾患たとえば胃癌の講義ですと内科の教員が内科的な診断・治療学を、さらに外科の教員が外科的な診断・治療学を講義して終了するというように内科と外科を一つの組み合わせにして、学生がよく理解できるようにしております。私の講義での工夫といいますと、既に認められています基礎的な知識を最初に述べ、それに悉皆の治療の現場で行われております新しい知識(試験にはまだ出題されない)を組み入れ、より臨床に近い講義をおこなっていることです。
達成目標
この講義を受けた後に臨床実習が開始されるが、そこでは大学病院としての最新の診断、治療が行われており、それらを十分理解するための基礎学習となる。その範囲は広く、またその進歩には目覚しいものがあるので、それらを十分学習していただく必要がある。
教科書
- 小柳 仁、松野 正紀、北島 政樹編集:「標準外科学第 9 版」医学書院
- 森岡 恭彦監修:「新臨床外科学第 3 版」医学書院
- 高久 史麿、尾形 悦郎、黒川 清、矢崎 義雄監修:「新臨床内科学第 8 版」医学書院
- David C. Sabiston: Textbook of Surgery-The Biological Basis of Modern Surgical Practice-Fourteenth Edition, W.B.Saunders Company
- J. Edward Berk: Gastroenterology Fourth Edition, W.B.Saunders Company
講義スケジュール
日時 |
教室名 |
担当教員 |
講義題目 |
5/24(木) 1時限 |
消化器内科 |
後藤秀美 教授 |
(1)消化器概論及び上部消化器官疾患 |
5/24(木) 2時限 |
消化器外科 |
小寺泰弘 講師 |
(2)上部消化官外科 |
5/31(木) 1時限 |
消化器内科 |
安藤貴文 教員 |
(3)下部消化管疾患 |
5/31(木) 2時限 |
腫瘍外科 |
安部哲也 教員 |
(4)急性腹症および下部消化管外科 |
6/6(水) 1時限 |
消化器内科 |
丹羽康正 講師 |
(5)消化器疾患の内視鏡診断と治療 |
6/6(水) 2時限 |
消化器外科 |
中尾昭公 教授 |
(6)消化器疾患の腹腔鏡手術 |
6/11(月) 3時限 |
消化器内科 |
片野義明 教員 |
(7)肝臓疾患 |
6/11(月) 4時限 |
消化器外科 |
中尾昭公 教授 |
(8)肝臓外科 |
6/13(水) 1時限 |
消化器内科 |
廣岡芳樹 講師 |
(9)画像診断 |
6/13(水) 2時限 |
消化器内科 |
伊藤彰浩 教員 |
(10)膵臓疾患 |
6/18(月) 3時限 |
腫瘍外科 |
梛野正人 准教授 |
(11)胆道外科 |
6/18(月) 4時限 |
腫瘍外科 |
梛野正人 准教授 |
(12)膵臓外科 |
講義内容
- 消化器概論および上部消化管疾患
- 消化器疾患全体のOverviewをおこなう。続いて、逆流性食道炎、消化性潰瘍、慢性胃炎などの良性疾患と食道癌や胃癌などの悪性疾患の診断及び治療について講義する。
- GERD、消化性潰瘍、H.pylori、食道癌、胃癌
- 上部消化管外科
- 上部消化管の外科で扱う疾患はほとんどが胃癌、食道癌である、これらについて湯術と補助療法を中心に講義を行う。
- 食道癌、胃癌、内視鏡下手術、補助療法
- 下部消化管疾患
- 下部消化管の腫瘍性疾患および炎症性疾患の診断と治療を中心に講義を行う。
- 大腸癌、潰瘍性大腸炎、クローン病
- 急性腹症および下部消化管外科
- 急性腹症の概念と診断、治療、下部消化管の手術について概説する。
- 腹膜刺激症状、急性虫垂炎、絞扼性イレウス、結腸切除、直腸切断術
- 消化器疾患の内視鏡診断と治療
- 内視鏡を用いた消化器疾患の診断と治療について、腫瘍性病変を中心に講義を行う。
- 消化管腫瘍の内視鏡診断、内視鏡的粘膜下層剥離術、超音波内視鏡診断、消化管出血の診断と治療
- 消化器疾患の腹腔鏡手術
- 腹腔鏡手術の適応疾患、手術手技、合併症について講義する。
- 腹腔鏡手術、胆嚢摘出術、脾摘術、腹腔鏡補助手術
- 肝臓疾患
- 多くの肝疾患の中でも、頻度の多い疾患について概説する。他の臓器とは異なる肝疾患の特徴(肝不全の症状、薬剤性肝障害)を理解してもらいたい。
- ウィルス性肝疾患、自己免疫性肝疾患、アルコール性肝疾患、薬剤性肝障害、肝癌
- 肝臓外科
- 看守用の治療(手術療法、非手術療法)について講義する。
- 肝切除術、肝動脈塞栓術、原発性肝癌、転移性肝癌
- 画像診断
- 消化器の臨床解剖についての実際の画像を供覧しながら概説する。
- 臨床解剖、肝胆膵、内視鏡、CT(comuputed tomography)、US(ultrasonography)
- 膵臓疾患
- 急性膵炎、慢性膵炎、膵癌、膵内分泌腫瘍の疫学、病態、診断と治療について概説する。
- 急性膵炎、慢性膵炎、膵癌、膵内分泌腫瘍
- 胆道外科
- 胆道の外科的局所解剖、胆石症とその合併症の治療、胆道癌の進展度診断と手術法について講義する。
- 胆石の種類、急性閉塞化膿性胆官炎、閉塞化黄疸、胆官癌、胆嚢癌
- 膵臓外科
- 膵の外科的局所解剖、急性膵炎・慢性膵炎の手術、酔眼の進展度診断と手術法について講義する。
- 急性膵炎、慢性膵炎、膵癌、膵頭十二指腸切除手術、機能性膵腫瘍
講義資料
消化器疾患
成績評価
出席点と最終講義日に行う筆記試験の成績を総合し、評価する。