講師 | 千葉恵美子 教授 |
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開講部局 | 教養教育院 2003年度 通年 |
対象者 | 文学部、教育学部、経済学部、法学部 (2単位・週1回全15回) |
受講生は少人数ののグループに分かれ、原告役・被告役・裁判官役を交替で務めます。自分の役割を果たすために、事前に BBS などを利用してグループ内で意見交換をし、また、メールで先生に作戦の相談をし、授業でどのような主張を展開するのかを準備します。みんなで助け合って情報を収集し説得のしかたを考えるうちに、参加者全員が自然に発表・司会・ディベートの能力を身につけ、議論を楽しめるようになります。
この授業の「ねらい」は、日常生活に関連する紛争の中から法律問題を発見し、それをさまざまな角度から分析することができること、発表・司会・ディベートができること、関連する課題について論理的な文章が書けること、以上の点にあります。この授業は、大学に入学したばかりの文系学生を対象とする少人数セミナーとして行われており、達成目標の点では、きわめてオーソドックスな授業内容といえます。しかし、この授業には、いくつかの新しい試みや工夫がなされています。
私が所属している名大法科大学院(ロースクール)では、さまざまな IT ツールを利用した授業が組織的に行われています。私の「基礎(文系)セミナー」は、このような取り組みを法学部や全学共通教育でも生かそうとするものです。すべての講義情報は、この授業の HP 上から入手でき、課題の提出も、学生相互の評価などができる IT 教育ツール「匿名投票システム」上で行われています。
また、発表・司会・ディベートという、高校生活の中ですっかり自己抑制的になってしまった能力を鍛えるためにも、次の工夫をしています。受講生 12 名は 4 名ずつ 3 つのグループに分かれ、原告役・被告役・裁判官役を交替で務めます。自分の役割を果たすために、事前に BBS などを利用してグループ内で意見交換し、また、メールで先生に作戦の相談をし、授業でどのような主張を展開するのかを準備します。みんなで助け合って情報を収集し説得のしかたを考えるうちに、参加者全員が自然に発表・司会・ディベートの能力を身につけ、議論を楽しめるようになります。授業の記録をご覧いただくと「ウルトラマン事件」の盛り上がりを体感していただくことができると思います。
法律というと、厚い六法全書をひたすら暗記するように感じている人が多いかもしれませんが、法律は世の中を観察する一つの切り口です。夏休みの課題として、映画を通じて、法律問題を自分で発見し、自分の考え方を自由に語ってもらった試みは、学生が法律という視点から社会をどのように観察したのかを示す興味深い記録となりましたし、また、プレゼンテーションの能力を高めるためにも有効な課題であったといえます。
この授業科目終了時において達成すべき目標は次のとおり
特になし
野田進・松井茂記編「シネマで法学(新版)」有斐閣,2004
回 | 講義内容 |
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1 | 教師、TA,受講者の自己紹介 授業目標、方法、シラバスの説明 チーム編成─4班 司会者の順番の決定 |
2 | 投票付課題提出システムの使い方の説明 投票付課題提出システムの体験 − パスワードの交付 − アドレスをTAに送る 情報検索の方法 |
3 | 第1テーマ 「ウルトラマン事件を通じて不法行為法を学ぶ」(1) |
4 | 第1テーマ 「ウルトラマン事件を通じて不法行為法を学ぶ」(2) |
5 | 第1テーマ 「ウルトラマン事件を通じて不法行為法を学ぶ」(3) |
6 | 第2テーマ 「カフェ丸玉ホステス事件——約束と契約」(1) |
7 | 第2テーマ 「カフェ丸玉ホステス事件——約束と契約」(2) |
8 | 第2テーマ 「カフェ丸玉ホステス事件——約束と契約」(3) |
9 | 前期のセミナーについてのディスカッション レポートについてのガイダンス ノートの取り方について |
10 | 学生によるプレゼンテーション(1) 映画を通じて法律問題をさぐる |
11 | 学生によるプレゼンテーション(2) 映画を通じて法律問題をさぐる |
12 | 第3テーマ 「映画・レインメーカー——契約と約款」(1) |
13 | 第3テーマ 「映画・レインメーカー——契約と約款」(2) 阪神大震災と火災保険について考える |
14 | 第3テーマ 「映画・レインメーカー——契約と約款」(3) 阪神大震災と火災保険について考える |
15 | 第4テーマ 「離婚と財産──縁の切れ目は金の切れ目?」 |
第 1 回
第 2 回
第 3 回
第 4 回
第 5 回
第 6 回
第 7 回
第 8 回
第 9 回
第 10 回
第 11 回
第 12 回
課題 1
課題 2
課題 3
課題 4
課題 5
課題 6
発言・討論への参加・司会(議論の進行)が 60%,レポートおよびノートの提出が各 20%
May 10, 2020