メディア基礎論-A類-2015

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講師小川明子 准教授
開講部局文学部/国際言語文化研究科 2015年度 前期
対象者国際言語文化研究科 (2単位週1回全15回)

講義概要

20 世紀を通して発達したマス・コミュニケーション型メディア・システムは、インターネットやケータイなどの普及によって新たなかたちへと変化を迫られている。本講義では、前半でマス・コミュニケーション型社会の生成過程と研究の系譜を振り返り、後半では、今後のメディア社会の現状と未来をワークショップやディスカッションといったアクティヴ・ラーニングの手法を交えながら、批判的、実践的に考察していきたい。

授業の工夫

メディア論は、めまぐるしく変化するメディア状況に引きずられながら展開されてきた研究領域であり、領域や研究方法論,研究スタンスも多岐にわたります。ここ数年、いわゆる「教科書」的な書籍も豊富に揃い、学びやすくなりました。そうした多様な研究成果をいったん整理、概観し、どのように自分の研究に用いることができるかを柔軟に考えてみようというのがこの授業です。

基本的にはメディア史、あるいはメディア研究の歴史に注目していますが、単なる歴史紹介に終わらないこと、あるいは枝葉末節のみに注力しないように注意しています (面白いのは枝葉末節なのですが)。歴史を学ぶことを通して、メディアと情報、知のありよう、そしてメディアと社会、権力との関係を見ていこうとするメディア論の枠組やスタンスを身につけることを目的とし、そうして得たパースペクティブでもって、混沌としたデジタル・メディア社会のありようを見据えていくことを目指しています。

したがって、授業では、講義のみに留まらず、ワークショップやディスカッションを活用したアクティヴ・ラーニングを重視しています。単に頭の中だけで理解し、現状を受容するだけでなく、私たちが生きる現代、新たなメディア状況を積極的にデザインしていくというスタンスを身につけてもらえるといいなと考えています。

授業のねらい

本講義では、メディア研究や実践、制作を始めるにあたり、メディア論の基礎知識を押さえるとともに、文化研究をはじめとする関連研究を理解することを目的とする。多様なディシプリンを俯瞰することによって、現代の多様で多層的なメディア環境を理解し、各自の研究ヴィジョンや将来像を明確に位置づけることを目指す。また講義全般を通じて、対話力、プレゼンテーション能力など、メディア・プロフェッショナルに必要な能力を養うことも目的とする。

履修条件等

特になし

教科書・参考書

  • 水越伸『21 世紀メディア論』放送大学教材
  • 伊藤守編著『よくわかるメディア・スタディーズ』ミネルヴァ書房
  • 難波功士 ブックガイドシリーズ基本の 30 冊『メディア論』人文書院
  • 井上俊・伊藤公雄『メディア・情報・消費社会』世界思想社
  • 伊藤明己『メディアとコミュニケーションの文化史』世界思想社

スケジュール

講義内容
1 メディアとは何か 1 はじめに ワークショップ メディアとは何か
2 メディアとは何か 2 複製技術の進展と19世紀情報技術の進展1
3 メディアとは何か 3 複製技術の進展と19世紀情報技術の進展2
4 メディアとは何か 4 20世紀型マス・メディア社会の成立
5 メディアとは何か 5 大衆社会と擬似環境
6 メディア研究の射程 1 マス・コミュニケーション論 強力効果論
7 メディア研究の射程 2 マス・コミュニケーション論 -限定効果論
8 メディア研究の射程 3 メディア・スタディーズの登場
9 メディア研究の射程 4 意味と記号
10 メディア研究の射程 5 空間とメディア
11 メディア研究の射程 6 メディア・イベント
12 メディアと現代社会の諸問題(ワークショップ) 1.メディア・リテラシー
13 メディアと現代社会の諸問題(ワークショップ) 2.東日本大震災とソーシャルメディア
14 メディアと現代社会の諸問題(ワークショップ) 3.ネットワーク理論入門
15 講義の振り返り

講義ノート

メディア基礎論 授業概要

成績評価の方法

授業における発表(30%)、授業中の討議への参加(40%)、最終課題(30%)、五回以上の欠席は「欠席」とみなす。


投稿日

May 08, 2020