ナノバイオデバイスと量子生命科学が拓く未来医療
工学部/工学研究科
馬場嘉信 教授
2023年度退職記念講義
「工学」は、科学を人や社会に役立つ技術へと展開する総合的な学問分野です。その対象は広く、化学、材料、電気、機械、エネルギー、建築、土木など多岐にわたっています。産業革命以降、機械化は大きく進展し、ものづくりはめざましい進展を遂げ、それにともなって人々の生活も大きく様変わりしました。一方、現在に至るまでに地球環境問題や化石燃料や資源の大量消費と枯渇などの問題もクローズアップされています。また,工学の担う範囲は、従来の分野だけでなく、医療や創薬、エネルギーや環境,あるいは防災など、大きく広がってきています。最近では、人工知能の急速な高度化が、近い将来、人々の生活や社会構造を大きく変えようともしています。このような情勢の中で、より高いレベルで「工学」を修め、直面する課題に果敢に挑戦し、持続可能な社会の実現に「工学」から貢献することを目指していただきたいと願っています。緑あふれる本学で私たちと共に「工学」を学び、工学分野で「勇気ある知識人」として、人類・社会の将来の発展のために活躍して下さい。
工学部/工学研究科長 宮﨑誠一 教授
工学部/工学研究科長の宮﨑誠一教授に 5 つの質問に答えて頂きました。
一言で言えば、「産業界とのつながり」になります。工学研究科では、様々な産業・社会活動に関わる科学技術を探求し続けていて、主要な技術分野でグローバルに活躍する教員陣容になっていることに強みがあります。工学は、数学や自然科学の知識を応用し、より便利なモノやコト、これまでになかったモノやコトづくりにつなげる、所謂、発明やイノベーションに最も近い学問分野と言え、科学技術イノベーションを牽引し、より快適な社会の実現に直接貢献することに醍醐味があると言えると思います。加えて言えば、名古屋大学は、世界でも有数の産業集積地に位置しており、高度工学系人材の育成・輩出において、工学研究科には、大きな期待と責務があります。こうした社会ニーズ、時代の要請に答えるべく、充実した教育カリキュラムの実践と先導的な研究に取り組んでいます。
工学研究科の教育カリキュラムを通して、様々な専門知識や能力を習得することはできますが、実際の企業活動・ビジネスにおいては、そうした知識や能力を上手く活用・応用し、人的ネットワークも使って課題解決に取り組むことが求められます。自身の専門性を高めると同時に、コミュニケーション能力と行動力・実践力を身に着けるように心がけてもらいたいと思います。様々なことに興味を持ち、視野を広げるとともに、目標を設定し、積極的・自発的に行動・挑戦することで、柔軟な行動を生み出す発想や判断力を磨き、リーダーシップを発揮できる人材に育ってもらいたいと思います。
工学部・工学研究科は、現在、学部7学科、大学院17専攻で組織して、多種多様な工学分野全般を守備し、その発展の一翼を担っています。今後は、分野間融合や他研究科との連携推進を強化するとともに、これまで以上に国内外の他大学・他研究機関との学術研究交流を加速・活性化することで、教育・研究活動において、ワンランク上の国際的プレゼンスを目指します。
実験・演習科目です。決して楽ではないですが、原理原則の理解を深めるだけでなく、定量的なスケール感や、もの作りにおいて必要となる工学的なセンスの育成において、大変役立っていると思います。もちろん専門科目では、実用化に至るまでの知識のエッセンスを学ぶことができますが、やはり最先端の研究開発に関する内容・話題が聞ける講義は、大変興味深かったです。
科学技術の目覚ましい進歩、とりわけ情報通信技術(Information Communication Technology: ICT)の進展によって、産業・経済・社会の構造が急速に変化する大変革時代が到来し、希望あふれる未来の創造に向けて、これまで以上に科学技術イノベーションに挑戦する人材が求められています。とりわけ、世界規模の問題・課題の解決、SDGs の達成、差し迫った第4次産業革命や Society 5.0 と呼ばれる未来社会の実現に向け、多様な産業分野での技術革新が強く求められていて、高度工学系人材に対する期待と責務は、ますます高まっています。
高度な専門知識と応用技術の宝庫と言える工学部・工学研究科で学び、新たな社会価値創造に挑戦してもらいたいと思います。また近い将来、皆さんとともに取り組んだ研究開発において、ポストコロナ時代の産業・社会変革に貢献する優れた成果が上がることを楽しみにしています。
(令和 3 年 5 月 20 日)
最近、「安全と安心」という言葉をよく目や耳にします。科学技術や社会のシステムに対する信頼の揺らぎが背景にあ ります。しかし、規制や罰則の強化に基づいた安心ではなく、信頼に基づいた安心感の醸成に努めるべきです。 工学研究科の放射線取扱主任者を10年以上担当してきました。学内の安全保障委員会委員や原子力委員会委員長とし て、大学内の放射線安全の確保にも努力してきました。約10年前のことです。工 ....
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企業から転職して束の間の5年でした。当時は、もうひと仕事、本来の研究ができるだろうと期待しました。間もなく、“一応、研究職ですが”と答えるようになりました。確か2年ほど前、“東大生はなぜ「一応、東大です」と言うのか?”という本が店頭に並びました。読んでないので詳細は分かりませんが、この場合の“一応”は本来の意味以上の含みがあるのでしょう。しかし私のそれは、おおよそとか概略の意でむしろ“強いて言 ....
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