
多元数理科学研究科の教育
多元数理科学研究科では名古屋大学における数学の専門部局として、幅広い数学をオープンでフレキシブルな環境の下で学ぶことができます。教育の基本方針として、学生の皆さんが自主的に学ぶことを重んじながら「確かな基礎力」と「幅広い視点」を身につけることを目標としています。数学は論理を積み上げていく学問体系なので「確かな基礎力」が必ず要求されます。さらに数学では、基本的な内容をしっかりとした論理で積み重ねていくことによって最終的には高度で信頼性の高い構造物ができあがります。このような数学の特性を「幅広い視点」から位置づけていくことで、数学が社会に果たすべき役割が見えてくるのではないかと考えています。
部局長インタビュー
納谷信 教授
多元数理科学研究科長の納谷信教授に5つの質問に答えて頂きました。
1. 多元数理科学研究科の一番の魅力を教えてください。
数学・数理科学の幅広い分野にわたって、研究力に優れた教員が数多く在籍しています。また、その研究力を学生教育に効果的に活かせるよう、体系的であると同時に多様な背景や興味を持つ学生に対応できる教育課程と、人と人との繋がりに重きをおく開放的な教育環境を整備しています。
2. 多元数理科学研究科の学生のことをどのように思いますか?またどんな風に育ってほしいですか?
高い思考力をそなえていることはもちろん、目的意識がはっきりしているとか、自立心が旺盛といった学生が多いように思います。一方、人との意思伝達があまり得意でない人が多いかもしれません。数学の研究では、一人で考え抜いて問題を解決する能力や姿勢も重要ですが、自身の考えを他者に伝え議論を通じて解決の糸口や新たな問題意識を得ることも重要です。両面を備えた頼もしい数理科学人材に育ってもらいたいと思います。
3. 多元数理科学研究科の授業の特徴、魅力はどんなところにありますか?
教員は数学研究の経験から各科目の本質をつかんでいます。そしてそれを学生諸君に明解かつ分かりやすく伝える授業を実践しています。少人数の研究指導でも、数学の思考法を実践的に伝えることに務めています。
4. 納谷先生ご自身が学生であったとき、印象的な授業はありましたか?
大学1年生のときの微分積分学の講義で、高校までは単に事実として受け入れていた様々な定理が厳密に証明される様子に感動しました。内容は半分も理解できませんでしたが、先生が楽しそうに講義されるので、自分も数学を理解したいと強く思いました。
5. 高校生と大学生へのメッセージをお願いします。
数学はもうこれ以上学ぶことはないのでは、と思っている人もいるかもしれません。しかし、理学部数理学科に進学されたならば、皆さんの前に未知の数学の世界が大きく広がっていることを発見するでしょう。是非、理学部数理学科、そして大学院多元数理科学研究科にいらして下さい。皆さんと一緒に数学を学べることを心待ちにしています。
(平成29年8月10日)