2009年度 退職記念講義
講師 | 宗宮弘明 教授 | |
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開講部局 | 農学部/生命農学研究科 | |
日時 | 2008/2/12 13:55-14:30 | |
場所 | 生命農学研究科第12講義室 |
講師 | 宗宮弘明 教授 |
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開講部局 | 農学部/生命農学研究科 |
日時 | 2008/2/12 13:55-14:30 |
場所 | 生命農学研究科第12講義室 |
名大入学(1965)以来、45 年間を大学で学んだ。名大でお世話になったのは、学生・研究員・教員として計 24 年である。 当時の教養部には、授業等に独特なスタイルの先生が多数お られた。私は柔道に熱中し、若さに付随するさまざまな悩みの中に生き、人生にとって重要で多感な教養時代を「友人と 自由と孤独」の中で自律的に送ろうともがいていた。 大学の誕生は 13 世紀の初頭で、ボローニャ、パリ、オック スフォードに創設され、800 年に及ぶ歴史の中で幾度も変転 を重ねてきた。大学は国家、教会さらには経済的な圧力に晒 され、これらの圧力により、一時的に停滞 沈滞したが、知 の自律、視点の複数性、教育の機会均等、批判的精神」など でしたたかに甦ってきた歴史を持つ(文庫クセジュ、大学の 歴史 2009)。
今、大学は「市場原理」の中で、かつてなかったほど「不確かな世界」となっている。しかし、まだ打つ手が無くなっ た訳ではない。なぜなら、大学そのものが「歴史的に、権威への従属を断ち切ろうとする『知識人』をもたらした画期的な存在」であり続けてきたからである。若者にとって、大学は多様な経験を学べるかけがえのない場であり、知識人的生活を体験できる唯一の場でもある。 「社会全体に対する自覚 を持った、若くてしたたかで勇気ある知識人」の輩出を名大 に期待するのは私だけではない。45 年間私を支えてくれたの はこの「希望の大学」だったのだと今にして思っている。
宗宮弘明 (そうみや・ひろあき) 大学院生命農学研究科教授
May 16, 2020