情報文化学部
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情報文化学部の教育

私たちは従来の学問分野の枠組みで自然・人間・社会を理解し、様々なものを創出し、より良い生活・社会を目指して文明を発展させてきました。しかし、貧困、紛争、環境問題など、人類が直面する課題は増大するばかりです。このような困難な問題に立ち向かうには、従来の学問の成果を取り入れ、それらを互いに連携・関連させて、調和のとれた社会に導くことが必要です。そのためには、人間を深く理解し、多くの要素が複雑に相互に関連している「全体」を見通す力と情報のスキルやセンスにより、総合力のある専門家、および専門知識を媒介できる人の育成が重要です。現実の問題に直面した際に、1つの側面から解決を試みるのではなく、多面的な様々な観点から問題を分析し、解決することが重要です。そのためには、1つの分野のエキスパートであるとともに他の分野からのアプローチが理解できる幅広い知識と対応力が必要です。情報文化学部ではこのような人材の育成を目指しています。

情報文化学部には文系と理系の両方の学問領域の教員がいて、文系も理系も含めた分野横断的に学問を学ぶことができます。情報文化学部には、主に理系の分野を学ぶ自然情報学科と文系を中心とする社会システム情報学科の2つの学科がありますが、いずれの学科に入学しても、最初は文理を問わず幅広く多様な分野を学びます。その中に情報文化学部の特徴である「人類生存のための科学」というユニークな科目があります。この科目では多様な学問分野について、なぜそういったことを学ぶのかということを考えます。そして、1、2年生では、情報を分析・解釈する情報リテラシーの基礎能力を習得し、英語を中心とした言語能力、論理的に物事を考える力を身につけていきます。このような科目を通して幅広い分野の基礎知識を学び、さらに3、4年生では徐々に自分の専門分野を確立して行きます。このような教育を通して、現代社会における様々な問題を多様な観点から論理的に客観的に分析し、解決策を講じることができる汎用力のある人材の育成を目指しています。

部局長インタビュー

情報文化学部長

黒田達朗 教授

情報文化学部長の黒田達朗教授に5つの質問に答えて頂きました。

1. 情報文化学部の一番の魅力を教えてください。

現代社会は高度に国際化・分業化が進んでいますが、逆に現実の様々な問題に直面した際には、1つの側面から解決を試みるのではなく、多面的な観点から問題を分析し解決することが重要となります。そのためには、1つの分野のエキスパートであると同時に、他の分野からのアプローチも理解できる幅広い知識と適応力が必要です。情報文化学部ではこのような人材の育成を目指しています。

情報文化学部には文系と理系、両方の教員がいて、多彩な分野を学ぶことができます。「旧来の文系である法学、経済学、文学の枠を超えたことをやってみたい」、「理系であっても典型的な理系とはちょっと違うことをやりたい」と考える方にとってピッタリの学部だと言えるでしょう。

情報文化学部には、2つの学科があり、自然情報学科では主に理系、社会システム情報学科では主に文系の分野を学びますが、1、2年生の間はいずれの学科でも共通に両方の分野を習得しつつ、徐々に専門分野に細分化していきます。したがって、幅広い知識を身に着けながら自分の興味・関心に応じて専門分野を確立して行くことができます。学部を卒業した後は、一般社会に出るか、大学院に進んで研究することになりますが、様々な問題に接したとき、「私は理系だからこれしかやりません」とか「文系だからわかりません」ということでは直面する問題を解決できません。問題を解決するために必要な知識・能力は文系・理系を区別することなく、自ら探して習得しなければなりません。そういった意味で、多様な視点を学ぶことができ、必要に応じてさらに深く追求するための基礎力を習得することができるということが情報文化学部の1番の魅力だと思います。

2. 情報文化学部の学生のことをどのように思いますか?またどんな風に育ってほしいですか?

情報文化学部に入って来る学生は幅広い知識を得たい人、新しい発想を求めて入学してくる人が多く、旧来の分野にはなかなか当てはまりません。一方で、新しい分野なので自分の立ち位置がわからず何をすればいいのか悩んでしまう人もいるかと思います。しかし、旧来の枠組みに縛られない幅広い知識・能力を持つことは現代社会の要求に合致した非常に大きなメリットですので、是非、それを活かして欲しいと思います。情報文化学部に限らず名古屋大学の学生の皆さんに言えることですが、十分な基礎力があるので、自信を持って勉強していただきたいと思います。また、大学4年間で学べることにはやはり限界があり、より幅を広げ、より深く学び研究する能力を身に着けるためには大学院進学も積極的に考えていただきたいと思います。

名古屋大学の学生は、東海3県の地元出身の方が多く、就職も地元に大きな企業が多くあるため、少し内向きになってしまう傾向が見られます。名古屋は非常に住みやすくて良いところですが、学生のうちに外の世界に触れる機会を多く持ってほしいと思います。実際、東海地方には世界展開をしている企業が多く、仮に地元に就職したとしても海外へ派遣される可能性も今後は益々拡大するので、国際人としての感覚は必須です。皆さんは基礎的な力は十分にあるので、学生の間にコミュニケーション能力も身に着けて、卒業後は日本を起点として世界で活躍して欲しいと思っています。

3. 情報文化学部の授業の特徴、魅力はどんなところにあると思いますか?

情報文化学部では、情報のスキルとセンスを身につける科目群、人間・文化・世界を情報の視点から深く理解する科目群、広い視点で現象を捉え、要素が複雑に相互に関連している「全体」を見通す力を養う科目群から成る専門基礎科目を配置して、複雑な自然・社会のシステムを系統立てて理解することができる人を育てます。そのうえで、文理を超えた多様な専門分野の教員による幅広いカリキュラムを学び、3、4年生で徐々に自分の専門分野を確立しつつ、多様な分野の知識も習得していきます。その結果、マスコミや他人の意見に追従することなく、現代社会での問題を多様な観点から論理的に客観的に分析し、解決策を講じることができる汎用力のある人材になっていくことができます。さらに、大学院の環境学研究科や情報科学研究科へ進学し、自らの専門性を一層高めることも可能です。

情報文化学部では、プログラミングも含めたコンピュータ関係の基礎知識、あるいはそれに関わる業界に携わろうとすると知っておかなくてはいけない基礎知識を学ぶことができますが、プログラミングができることは問題解決の1つの手段であり、目的ではありません。プログラミングもできて、その上に多様な分野の基礎知識を持ち、その知識を応用できるように学んで欲しいと思います。情報文化学部には文理を問わず様々な分野の教員がいて、幅広い教育を体系的に行っていますので、情報の基礎知識を様々な分野に適用していけるカリキュラムを準備しているのが一番大きな特徴だと思っています。

4. 黒田先生ご自身が学生時代のとき、印象的であった授業はありますか、またそれはどんなものですか?

印象的な授業は当時の教養課程に多くありました。例えば、自然人類学の著名な先生がアフリカなどのサル社会の仕組みを話す講義があって、大講義室は毎週満員でしたが、高校までの授業ではまったく聞いたことのない内容が多く、いま流行の「白熱教室」といった雰囲気でした。現在の私の専門は経済学ですが、学際的な学部・大学院にいるせいで、最近は社会学の教員と話す機会も多くあります。当時はそう意識はせずに聴講していましたが、今思えば「サルの社会学」だったのですね。

また、英語の授業でイギリスの詩を習ったのも印象に残っています。1年間、様々な詩の解釈を聴いて、通常の文章を読むのとはまったく異なる感覚を楽しみました。もっとも、英語の詩がすらすら読めるようになったわけではありませんが、30年ほど経ってから湖水地方にあるワーズワースの家に立ち寄ったときには少々感慨深いものがありました。しばしば、大学の語学教育はシェイクスピアの講釈より、単純な英語で書かれた専門書をすらすら読めるようにすべしといった意見がありますが、第2外国語も含めて、実用性だけでは語れない側面を忘れてはならないと思います。同様に、単なる興味から、最初の春休みは帰省せずに、文学部が企画したサンスクリット語の集中講義に毎日通いました。実用的な成果は皆無ですが、高校まで知ることのなかった「異文化」に触れる良い経験となりました。

名古屋大学のような総合大学の最大の長所は、所属する学部学科を越えて、聴講を希望すればどんな分野の講義にも参加できることです。学生の皆さんにも、そういった機会を最大限活用してもらいたいと思います。

5. 高校生と現役大学生へのメッセージをお願いします。

私たちが生活する現代社会は、東西冷戦の収束を契機として、グローバリゼーションが急速に進展しています。それとともに、ヒト・モノ・カネの国際的流動が想像を遙かに超えた速度で増大しています。一部には、各地で発生しているテロなど、それに対する反動に起因する現象も見られますが、皆さんが生きていく今後の数十年は益々国境の壁は低くなり、皆さん1人1人が世界中と繋がる社会が現出してくるでしょう。交通システムだけでなく情報ネットワークはその基盤となっていますが、そのような高度に国際化・情報化した社会で生じる様々な問題に対処するには、従来の学問領域を超えた幅広い専門知識と情報の整理・分析能力が要求されます。さらに、個人の知識・能力を超えた課題に対応するには、異なる専門分野に秀でた国内外の人材とのコミュニケーションが重要となります。その際、重要なことは単に英会話ができることではなく、日本の歴史・文化を良く知るとともに、海外の歴史や文化も可能な限り理解することです。近年の高校教育における科目選択制の導入や大学の教養課程の廃止により、一般的にはこの能力が衰弱していることが懸念されます。上述のように総合大学に学ぶ機会を活かして、真の意味でのグローバル人材に育って頂きたいと願うゆえんです。

(2015年4月25日)

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