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開講部局:生物機能開発利用研究センター

若松佑子 教授

最終講義 - メダカに明け、メダカに暮れ

授業時間 2008年度退職記念講義
日時 2009/3/19 17:00-18:00
場所 シンポジオンホール

メダカ畑で過ごした日々

1994年4月、名古屋大学に着任した私と夫の尾里建二郎の目にまず飛び込んできたのは、研究棟の周囲を埋め尽くす甕、甕、甕の海でした。前任の富田英夫先生が研究者人生をかけて収集されたメダカの自然突然変異体数万尾がこれらの甕の中にいました。このメダカを「何とかしてくれ!」、これが私達に与えられた課題でした。

メダカの整理を担当した私は、学生達が「メダカ畑」と呼ぶこの甕の海で、富田先生が残されたメモを頼りにメダカを一つ一つ観察し、確認してゆきました。そして、どれもこれもそれぞれに興味深い変異体であることを理解しました。変異形質はそれぞれ少なくとも一つの遺伝子につながっています。形質は遺伝子が咲かせた花です。このメダカ畑はメダカの遺伝子のお花畑だったのです。私はこの宝物を捨ててなるものかと思い、すべての系統を保存することに決めました。そして、研究室のスタッフや学生達の協力を得て、二年半をかけてこのメダカ畑を建て直しました。

メダカのゲノムが解明された今日、これらの系統は日本が誇る生物遺伝資源として世界中で活躍しています。名古屋大学を去るに当たり、これらの日々を懐かしく思い出すと同時に、この宝物を大学に、そして日本に残せたことを誇りに思います。また、この活動に協力してくださった研究室のスタッフや学生の皆さん、そして、深い理解をもって暖かく見守ってくださった名古屋大学にお礼を申し上げます。

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