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開講部局:国際言語文化研究科

福田眞人 教授

言語文化学方法論a:明治初期記録『米欧回覧実記』に見る日本人の西洋体験

授業時間 2008年度前期月曜3限
対象者 国際言語文化研究科 日本言語文化専攻

2単位、週1回全15回

授業の内容

文化事象を、歴史的背景と記録の詳細な読解から分析・考察する方法、方法論を身に付ける訓練をする。 明治維新がなるや日本新政府が腐心したことは、近代化、西欧化であった。殖産興業、富国強兵策はすべてその線上にあった。しかし、西洋列強との早期に交わした友好通商条約が、不平等条約であることに気付いた日本は、一大交渉団を組んで米欧を回覧し、外交交渉をしつつ、諸文化を閲し、有用な技術を正確に本国に伝えようとした。 これが参議岩倉具視を団長とする、日本政府の要人を殆ど尽くした回覧団であり、その正式記録が久米邦武による『米欧回覧実記』である。この実記の成立過程を検証しつつ、日本人の見た「外国」記述の妙を探る。

授業の工夫

教科書は明治11年10月に刊行された久米邦武編『米欧回覧実記』第1巻(岩波文庫)を用いている。

この米欧回覧使節団は、旧暦明治4年11月10日(西暦1871年12月12日)に横浜を発し、アメリカ、ヨーロッパ、中東、アジアを歴訪すること1年9ヶ月21日の世界一周旅行をなした大派遣団であった。帰着は、明治6年9月13日のことであった。

久米の、漢学の才にあふれた文章を読みこなす努力と、本来西洋の進んだ文化、文明を吸収することを目的としたこの派遣団にあって、久米の筆致は穏やかでしかも正確な記述に満ち満ちている。そこに、日本が培ってきた教養や学芸の陰を見落とすことのないように、注意を払いつつ進む。時に詩的でさえある表現にも出会う。

さらに、科学技術の見学記録(記述)も正確無比で、ゆるぎがないことにも十分認識を新たにしながら進む。そしてそこに本国(日本)や中国との自然な比較の視点が用いられていることに思いを致そう。かつ、その憧れの視点は、もうはるかにヨーロッパに向かっていることも。

もうひとつ注意することは、授業の流れを掴み、かつ発言するための準備をすることである。どのようなことであれ、意見を陳述することが大切である。その発言が意味を持つようになるには時間がかかるが、考え、試行的に述べてみることで、議論がまた次に繋がる。

教員がその議論のまな板となり、その俎上にのった議論の進み具合を調節する。

教員は、その意味で、発案者であり、調整者であり、また判断を下す者でもある。単なる教える機械となってはならない。

最終更新日:2010年04月14日
最終更新日の時点の講義内容で公開を行っております。
最新年度の講義と内容が異なる可能性がありますのでご注意ください。

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